赤の世界
その日初めて
楓の家に泊まりに行った。
楓の家は少し広い
ワンルームマンション。
部屋はシンプルに整理され
出しっぱなしの雑誌すらない。
家具の色は
ほとんどが白だった。
「白い色好きなの?」
「うん。何にでも合うしね」
なるほどと納得する。
買い物で歩きつかれた脚を
白いソファに投げ出して
だらしなく座り込む。
楓も同じ思いだったようで
白いベットの上に座り込んだ。
街中は綺麗なツリーと
イルミネーションが溢れて
ものすごい量の人がいた。
すっかり人ごみで
気力を奪われたみたいだ。
お互い顔を見つめて
苦笑いをする。
駅ビルで買ってきた物で
簡単な食事をした後は
さっき買ったケーキ。
真っ白な生クリームが
雪のように敷きつめられてる。
せっかくだからと
何本か適当にロウソクを立てた。