赤の世界
 
ロウソクに火を灯す。

ゆらゆらと小さな火が
2人の間で揺れる。

心地のいい時間が
流れているのを感じた。





「ねぇ、電気も消そっか」

楓が子供のようにはしゃぐ。





パチリとスイッチを切って
部屋を照らすのは
暖かなロウソクだけになる。

それでも案外部屋が明るくて。

(外からの光…?)

そう思って窓を見ると。






「あ……雪だ…」

「えっ?!」

楓も一緒に窓を見る。

白い粉のような雪が
チラチラと僅かに舞っている。

微かではあるが
確かに雪が降っていた。


 
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