赤の世界
 
「綺麗だね…」

「うん…」





ぎゅっと楓の手を握る。

寒さも忘れて窓を開けると
細かな雪の粒まで見えた。

微か過ぎて
絶対に積もらない雪は

手を伸ばすと
手のひらの中で消えた。

そんな風に
しばらく雪を眺め続けた時―




「くしゅん…っ」

不意に楓がくしゃみをした。

「ごめん、寒かったね」

すぐに窓を閉めて
ベットにあった毛布をかける。

「カゼ薬ある?持ってくるよ」

「大げさだな、悠は」

くすくすと楓が笑う。


「…そうかな」

「ちょっと冷えただけだよ」

楓が俺に体を擦りよせる。

その体は少し冷たい。


 
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