赤の世界
「薬はいらないから…」
楓の腕に楓の手が伸びて
細い腕が絡んだ。
「こうさせて?」
俺の肩に頭を乗せて
楓は静かに微笑んだ。
髪を撫でると
相変わらずサラサラな髪が
指の間をすり抜ける。
「今日は一緒に寝れるんだよね」
「うん、そうだよ」
嬉しそうに笑って
楓の目が細くなる。
ロウソクを灯した
ケーキさえろくに食べず
俺は楓を抱きしめて
短いキスをした。
楓の頬が少し赤い。
その表情が可愛くて
俺はまた強く楓を抱きしめる。
愛しいってこういう事?
(きっと、そうだよね。)
「楓が好きだ」
やっと、伝えられた。