赤の世界
優しくて綺麗で温かい楓が
愛しくて仕方なかった。
きっとこれが、恋。
きっとこれが
好きだという感情。
「うん。嬉しい…」
腕の中の楓がこくんと頷いた。
その優しい笑顔に
胸の中の隙間が埋められていく。
ベットに倒れこんで
何度も繰り返しキスをする。
狭い距離で見つめる楓は
相変わらず綺麗で。
澄んだ瞳の中に
いまはロウソクの火が揺らぐ。
お互いを暖めあうように
お互いの熱を分け合うように
ずっと抱きしめ合って。
そのまま俺たちは
眠りこけてしまった。
それはとても温かな眠りで。
腕の中の楓の華奢な体から
惜しみなく流れ出す熱が
俺の体に染みて
生まれて初めて
安心を教えてもらった
子供のような気持ちだった。