赤の世界
気分は酷く悪いのに
その日眠りにつくと
可愛らしい彼女に会えた。
夢の世界は今日も晴れ。
もう赤い夢は赤くない。
あれ以来ずっと
空からは日が差していた。
強い強い黄色の光が。
そんな光に侵食されるように
赤い色は居場所を失くしていた。
どこまでも陽だまりがあって
日陰が見当たらない。
陰りに密かにあった赤色も
もう見つけられない。
街を歩く人々は
それが当然の事のように
陽だまりの中で
コートを脱ぎ捨てていた。
気にもせずにただ
自分の生活を送っているようだ。
だけど今日は久しぶりに
赤い色を見つけることが出来た。
赤い方へ向かっていくと
すぐに彼女を見つけられた。
相変わらず道路の真ん中で
コートを着込んだままだ。
寂しそうな顔をして
空を眺めている。
彼女の周りだけには
円を描くように
赤い色が広がっていて
中心にいる彼女は
赤い色彩で彩られている。