君が好きで。
第1章

サクラの季節

新学期が始まって早くも2週間が経っていた。
一一4月の終わり。
ほんのりと肌寒い風が心地良くて。
頭上に広がる大きな日差しは私たちを照らしていた。
「はーいっ!ラスト1周!!」
この光山高校の大きなグラウンドで彼らは思いっきり走っていた。
「相変わらず咲季は厳しいねぇ」
同じ野球部のマネージャーの藤沢春(ふじさわはる)は、高校に入学して初めてできた友達。
それから一緒にマネージャーにもなった。
大好きなアイツがいるこの“野球部”に。
「そうかなぁ?だって、あたしたちは今年で引退になっちゃうんだよ?最後の大会も気合い入れなくっちゃ!」


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