碧の時間(とき)
異変
みどりちゃんと今の家に来て三年が経った。
桜の枝の蕾が膨らみ始め、冷たかった空気が、少し爽やかさを含んできた頃、私は幼稚園に入園することになった。
可愛いグレーの制服にグレーのベレー帽を被り初めての幼稚園バスに乗ってお母さんと離れる時、私は寂しくなって泣いちゃったんだ。
「…っく、グスン……」
「夕貴、泣かないの。ねっ」
そして優しい笑顔を私に向けた。
――ポロポロ ポロポロ
優しい笑顔が、余計に離れるのを辛くさせた。
『あらら、泣き虫さん。お母さん、困っちゃってるよ』
みどりちゃんも私を見送りに来ていた。