碧の時間(とき)
怖さと悲しみと
ひいおじいちゃんの症状は、段々とひどくなっていった。
窓のガラスを割ったり、お父さんやおじいちゃんを見ると大声で「泥棒だー!家に泥棒がいるー!」って叫んだりした。
……かと思うと「おぉ、夕貴か」なんて、いつものひいおじいちゃんに戻ったりしたんだ。
でも、そんないつものひいおじいちゃんも、消えつつあった。
ボケるということは、とても怖くて悲しい事なんだって、小さい私は思ったんだよね。
そして、ひいおじいちゃんの症状とともに、私の熱を出す回数も増えていった。
更に、この頃から私は熱を出すと不思議な錯覚に襲われるようになったんだ。
……天井が迫ってくる。
そんな錯覚。
体が熱くて、ハァハァと息が荒くなり、薄目を開けるとそこには天井があるの。