碧の時間(とき)
手を伸ばせば、触れるんじゃないかな……ってくらいに近くに。
――ギュッ
気付くといつもみどりちゃんが私の手を握るの。
触れるはずのないみどりちゃんの手が、私の手をしっかりと掴んで離さないの。
『行っちゃダメだよ。戻って、夕貴』
――戻る?
『そう、戻るの』
目を瞑る。
体が重くなる。
ハァ…ハァ……フゥ。
少し呼吸が落ち着く。
目を開けると、いつもの視界。
天井は元に戻っていた。
……今のは何だったのかな?