碧の時間(とき)






「いや、詳しくは聞いてない。とにかく病院行くぞ」






お母さんのお兄さんのその言葉を聞くのと同時に、私とお母さんの妹は居間を飛び出し、玄関を出た。






その後の事はあまり覚えていない……。






どうやって車に乗ったのか、どこを走ったのか。






ただ…朝に会ったおばあちゃんの顔がやたら浮かんできた。






麻痺の残った顔で笑顔を見せてくれたおばあちゃん。






あっ…そういえば、おばあちゃん、私に何かを伝えていた……よね?






えっと…えっと……。






あっ!!そう、確か『また会おう』だったか『また会える』……みたいな事だったような。






でも、その時は、また“明日”会おうって意味だと思ったけど…なんか違う?ような。






何が違うのかって聞かれたら分からないんだけれど、多分、違うんだと思った。






何が違うのか……それが分かったのは、ずっと先の事。






ずっと、ずっと先の事。









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