碧の時間(とき)
おばあちゃんは畳の上に寝かされていた。
真っ白い布団がかけられたおばあちゃんの顔には、やはり白い布がかけられていた。
窓もなく、電気も薄暗く…お線香の香りが立ち込める部屋の中は、ドライアイスとクーラーのせいか、真夏だというのに寒かった。
お母さんが静かに泣いていた。
おじいちゃんは黙ったまま、おばあちゃんの横に座ってうつ向いていた。
お母さんの妹が、震えた手でおばあちゃんの顔にかかっていた布を外した。
綺麗だった。
透けるような白い肌。
薄く紅が引かれ、頬がほんのり桜色をしていた。
死化粧……。
今までで一番綺麗なおばあちゃんだった。