碧の時間(とき)






おばあちゃんを送る日は、とても暑かった。






こんなに暑いのに、さらに焼かれてしまうんだなぁ…って漠然と思った。






未だに涙が出なかった。






半身不随の生きているおばあちゃんを見た時は、あんなに悲しかったのに。






……でも、泣いたんだよね。






棺の窓を閉めた時に、全ての悲しみが一気に押し寄せてきたんだ。






「これが最後のお別れになります」






火葬場で係の人がそう告げると、周りにいたお母さんやおじいちゃん達がおばあちゃんを覗き込んでお別れを言いながら泣いた。






……最後のお別れ。






それは、二度とその姿を見る事が出来ないということ。






死んでいても、触る事…見る事が出来ていたおばあちゃんを永遠に失うと言う事。









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