碧の時間(とき)






「あの頃はそんなもんだったんだよな。今でこそ救急車…とか考えたんだろうけどな。まぁ肺炎だったんだろうな」






肺炎……かもしれないけど、連れて行かれたんだ。






確か、みどりちゃんは、そう言っていた。






『連れて』行かれたんだと。






……逝かれたんだ。






みどりちゃんの言葉や笑顔が体全体に染み渡ってきて、全てがわかったような気がした。






生まれる時から私を守ってくれたこと。






私を見る家族の眼差しにいつも微笑んでいたこと。






みどりちゃんは寂しくないのかな?って思ったけれど、寂しくはなかったんだね……きっと。






だって、みんなのそばにいたんだもんね。






おじいちゃん、おばあちゃん…ううん、みどりちゃんのお父さん、お母さんをいつも見守っていたんだもんね。








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