碧の時間(とき)






隣の病室に入って行く、小さい女の子の姿が目に入った。






白いワンピースの裾がフワッとしていた。






私は、ドキドキした。






だって……もしかして……。






無意識のうちに、私はその病室に向かって歩いていた。






そして……中を覗いた瞬間、目から涙が次から次へと流れ出た。






「おばあちゃんっ……」






死んだはずのおばあちゃんがベッドに寝ていた。






その横には……みどりちゃん。






そばには日めくりカレンダーが、おばあちゃんが死んだ日を指していた。






『夕貴』






みどりちゃんが私の名前を呼んだ。






「うぅき…か…い?」








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