碧の時間(とき)
『赤ちゃん産むの、知ってたよ』
みどりちゃんは、おばあちゃんの隣で優しく微笑んだ。
『言ったでしょ?夕貴がいるから、私が存在できるんだって。ほら……そこに』
そして、そう言うとみどりちゃんは、私の腕の中で眠る赤ちゃんを指さした。
―― !!
……そうだったんだ。
みどりちゃんは、生まれ変わるために、私を守っていてくれたんだね。
『もう……行きなさい。優しいパパが待ってるよ』
おばあちゃんは、やっぱり逝ってしまうんだね。
みどりちゃんと……逝ってしまうんだね。
「うん……。おばあちゃん、さよなら。みどりちゃん、大切に育てるからね」
私は涙を流しながらも、一番の笑顔を見せて、病室を出た。
そして………
後ろを振り返ると、病室には誰もいなかった。