Blood†Tear

左目を負傷し力の使えないセルビアは2人から一方的な攻撃を受けていた。


身体全体から血を流し、荒い息の彼女は壁に身をぶつけ床に倒れ込む。



フードを目深に被るライアは何が可笑しいのか笑い続け、彼女の瞳を完全に駄目にする為レイピアを突き刺そうとする。



しかし、何が起こったのかライアはふらつき、背後に回った男にもたれかかった。




 「ライア……?」


 「心配ない…久々の戦闘で身体がついていかないだけだ」


男は心配そうに声をかけると、苦しそうに唸るセルビアに剣を向けた。


だがそんな彼をライアは止め、もういいと言う。




既に虹色の瞳は使い物にならないと、彼はセルビアを殺す事なく立ち去って行く。


その後を男も追い、身動き一つ見せなかった小柄な人物もついて行く。





 「待…て……」


うつ伏せに倒れるセルビアは床を這い、小柄な人物の脚を掴み放さない。


脚を掴まれ怯える瞳で見下ろすその人物は、赤紫の髪をした可愛らしい少女であった。


散った鮮血を頬に付けたまま、恐怖からか震えている。




 「止めろ……イオンを、傷つけるのは……君は、彼のたった1人の………グッ……!」


 「折角命は奪わないでおいてあげたのに、残念だよ、セルビア」


少女に何か伝えようとしていたセルビア。


しかし彼女の身体に鋭い痛みが駆け巡る。



様子を伺いに戻って来たライアが重い大剣を彼女の身体に突き刺していたのだ。



血を吐き少女の脚から手を放すセルビア。



悲痛に叫ぶ彼女を見下ろし笑うライアは全体重を剣へとかけ、彼女の身体を貫いていく。



身体を貫通し床に突き刺さり、身動きの取れなくなった彼女は遠退く意識の中、隠れたライアの素顔を目にし驚いたように何かを呟くと、そのまま意識を手放した。



辺り一面に血が広がり、セルビアの息が弱まる中、ライアは1人笑い続け、その不気味な声が街中に響いていた。





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