Blood†Tear

厚い雲の隙間から月が覗く夜空の下、静かな町中に6人の男女の姿があった。


スウィール国とラグナレア国の間に位置する小さな町。


両国の交流が途絶え、賑わいを失ったこの町をコウガ達は歩いていた。



スウィール国の外で合流したレグルを先頭に、シェノーラを背負うジーク、彼等に手を貸したコウガ達3人が続く。




騒ぎに巻き込まれる前にシェノーラを国の外に連れ出した。


そんな彼等に、一時期シェノーラを保護するとレグルは言い、この町にやってきたのである。





静かなこの町のある小さな屋敷。レグルが所有すると言う屋敷に着いた6人は中へと入っていく。





 「「イェーイ!」」


扉を開け部屋へ入った瞬間、聞こえてきたのは高い女性の声。


明るく賑わう部屋を目にし、レグルは立ち止まった。




広いリビングに先客が5人。

黒いソファーに1人の男性を挟むようにして4人の女性が腰掛ける。




 「何、知り合い?イケメンじゃん!」


グラス片手に盛り上がる中、来客に気づいた女性が声をあげた。



呆然と立ち尽くす彼等に駆け寄る女性達。


彼等の腕を取り騒ぐ中、レグルは不機嫌そうに目を瞑り、眉間に皺を寄せていた。






 「リョーガーー!!」


拳を握り大声をあげたレグル。


女性達は身を震わせ、1人ソファーに座る男性は耳を塞ぎニコニコと笑っていた。






 「まったくお前は……仕事をしろ!そしてこの屋敷を勝手に使うな!」


 「まぁまぁ、そんなに怒鳴らないで下さいよ、ルグル様」


女性達を帰し部屋を片付けるとレグルをソファーに座らせる男性。



常に朗らかな笑顔を浮かべ、柔らかい面持ちの彼はリョーガ・グランドル。


ルーガン家の従者でありレグルの使用人。
金髪に左耳には剣の形のピアス。遠目から見るとレグルと見間違えるその姿からするに、彼はレグルの影武者のようだ。





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