Blood†Tear
「ぅぁぁぁあああーー!!」
レグルとリョーガはチェスをし、その様子を悪戯をしながらジークは眺める。
レオンは1人広いソファーに寝転び、部屋の隅の椅子に腰掛けるクレアはピザを食べていた。
コウガとクレアはバルコニーで話に花を咲かせていると、何処からか甲高い叫び声が聞こえてきた。
近づいてくるその声に皆が動きを止め辺りを見回していると、
「ぬわぁぁーー!!」
何か小さなものが物凄い勢いで壁を突き破り部屋に侵入して来たのである。
それは部屋の中を通過しバルコニーまで転がって行くと、手すりに身をぶつけ動きを止めた。
「イ、イース!?」
「うぬぅぅ……」
バルコニーの床に転がるそれを目にした瞬間、コウガはその名を口にした。
突き破った壁の近くに転がる箒、頭を回し座り込むピンクの髪人物は以前顔を合わせたイースである。
イースはフラフラと立ち上がり歩み出すが、バランスを崩しシェイラの胸に顔を埋めてしまった。
「どうしたのでしょうか……」
気を失ったのかもたれかかるイースを心配し頭を撫でるシェイラ。
部屋にいた5人も何事かと近づいて来た。
すると…
「ぬわぁぁーー!こんな事している場合では!」
ぐったりしていた彼女は突然声を上げ、シェイラの胸から顔を上げた。
そしてキョロキョロと辺りを見回しコウガの姿を目にすると、彼の元へと駆け寄った。
「お願いです!助けて下さい!リオン様が!リオン様が!」
「落ち着いて、リオンがどうしたんだ?」
パニックになっている様子のイースを落ち着かせようとするが、彼女は興奮しているのか彼の声が聞こえていない。
「ぬぅぅー……いいから着いて来て下さい!」
周りの見えていない彼女は彼の腕を掴むと風を身に纏いバルコニーから飛び降りた。
「ちょっ、待ちやがれ!」
慌てた様子でレオンは駆けて行く彼女を追い掛ける。
その後をピザを口に頬張ったクレアが追うのであった。