Blood†Tear

リオンの持つ神の瞳を悪用する者から逃げる為、故郷の村から離れた2人。


知人であり力強い見方であるセルビアの元に居た筈の彼等だが、彼女の元から離れた時を狙われリオンが連れ去られたと言う。



リオンを浚った人物は神の瞳を狙う者だと確信しているイース。

彼はきっと故郷の村にいる筈だと、信頼できるコウガ達を連れ向かっていた。



不覚にも間違えて連れてきてしまったジーク。
彼に戻った方が良いのではと助言をするが、此処まで来たのだから力を貸すと、戻る気はないらしい。

先程シェイラの傍から離れないと約束したばかりなのに、無責任だと彼を苦手にするクレアは溜め息を吐くのだった。




 「此方です」


東に陽が昇り、西に月が沈む頃、先頭を歩くレオンの上に乗るイースは林の方を指差した。


傷だらけで力を使い疲れたと、レオンに肩車をして貰っている。




 「イースはさ、シエンの事知ってる?」


リオンの姉であるシエン。
彼女が何かしらの関係があるのではないか、そう思っていたコウガは問いかける。


するとイースは少し悲しそうな顔をした。




 「シエン様の事は話で聞いた事があります。しかし、彼女とお会いした事は一度もありません。イースがリオン様に出会った頃、2人の仲は良くありませんでしたから……」


何時も明るく元気な彼女だが、普段と違う低い声で話す彼女の様子に異変を感じ、彼女を背負うレオンは歩くスピードを落とし静かに耳を澄ます。




 「彼女はリオン様の力を奪おうとしています。髪色も瞳の色も異なる彼女は、ディアルド家の者である証を求め、彼の敵に回りました。今回の件でもきっと、彼女は何かしらの点で関わっている筈です」


実の姉弟なのに、戦わなければならない2人。
何故そんな2人が悲しい思いをしなければならないのか、2人を止める事はできないのだろうかとイースは顔を伏せる。




 「大丈夫。2人の仲ははきっと、昔のように良くなるさ」


そんな彼女の頭を優しく撫でるコウガは真っ直ぐに前を見つめていた。





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