Blood†Tear

 「あの日村を出ていた俺だけが、幸か不幸か生き残った…どうでもいい、こんな俺がさ………」


ハハッと笑って見せるが、その笑顔は痛々しい…



 「何で俺なんだよ……何で俺なんかが……俺だけが生きてんだよ………」



何と声を掛けていいのかわからず、悲しみの色の映る黄色い瞳から逃げた…



すると…





バシャーン!



 「!?」


水浸しのレオン…
灰色の髪の毛先からポタポタと雫が落ちる…





 「どうでもいい奴なんておらんねん……生きてて悪い奴なんておらんねん……どんな奴でも、生きてるだけで、それだけでえぇねん……死んだ方がいいなんて言うなや……」



レオンを水浸しにした張本人エレナ…
彼女は俯き拳を震わせながらゆっくりと言葉を紡ぐ…








 「バーカ……誰が死ぬかよ……」



エレナの言葉にへらへらと笑って見せる。



 「俺は死なない…仲間を、大切な物を奪った奴等を追い詰めるまで……」


そう言った彼の瞳は、先程の悲しい色はどこにも無かった…


そこにあったのは、何かを決意した輝く瞳…




 「?お前、泣いてんのか?」



レオンの言葉に顔を上げたエレナ。
彼女の瞳は潤んでいるように見える。

面白がるように言うと、エレナの額をトンと人差し指てつつく。


すると、



 「……誰が泣くか!お前なんかウチが殺したる!」


そう叫びレオンにつかみかかる。




遠くから2人を見つめていると、突然ドクリと心臓が跳ねた。

それと共に立ち上がるコウガ。
勢い良く立ち上がった為座っていた椅子がバタンと倒れる。

倒れた椅子の音に反応し、2人は動きを止めた。




 「コウガ?」


エレナは彼の名を呼ぶが、コウガは一点を見つめたまま動かない。

それを見て眉を潜めたレオンは、何かを感じ取ったのか鼻をひくつかせた。



 「この臭い……奴等が近くにいる!」


そう言うと、ドアを乱暴に開け目にも留まらぬ速さで店を出る。

それに続きコウガも店を飛び出した。


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