Blood†Tear
腕を組み壁に背をつけ立つ彼の名はフリード・ブラッドリィ。
銀髪に赤のメッシュ、鋭い瞳は血のように真紅。
短剣を自在に操る彼はライア達の仲間であるが、彼等との仲は良いとは言えない。
ライア意外は彼を歓迎していいなにような、そんな感じなのだ。
「さぁ、本題に入ろうか」
全員がフリードを睨む中、ライアのその言葉に全ての視線が彼に向く。
「特に重要な話ではないんだけど、時にはこうして集まるのもいいよね。生存の確認や裏切り者の特定なんかもできるしさ」
彼のその物言いにティムリィは鋭い瞳を向け、マットは鼻で笑うとずれた眼鏡を押し上げる。
カンナとナギは2人揃ってケタケタと笑う中、スティングは呆れて静かに息を吐く。
「で、話って言うのは?」
話を戻そうと声をかけると、ライアは面白く無さそうに舌打ちをする。
そんな事に構っていられず苦笑いして済ますと、ライアは仕方なく話を本題に戻した。
「彼等を消すよ」
「あ?」
「あら、豪速球」
「出たよ爆弾発言」
「大変な事になりそうだね」
短くまとめたその言葉に様々な反応を見せる彼等。
スティングだけは冷静に対象する。
「消すってどういう意味だ」
「そのままの意味だよ。僕等にとって彼等は不要。邪魔をする前に片付けておくのさ」
「今まで躊躇っていたお前らしくもない」
「人は変わるものだよ、スティング。昔の僕は、もう居ない」
「ライア……」
低い声で言うライアのその言葉に追求するのを止める。
すると彼は脚を組み直すと皆を見渡した。
「ま、そう言う事だから、皆宜しくね」
投げやりで他人任せな彼だが、彼等はその言葉を待っていたと嫌味に微笑んだ。
「彼女には手を出さないで下さいね?彼女は、私の旋律上で美しくも残酷に舞ってもらう、悲劇のヒロインなのですから」
楽譜の隙間から一枚の写真取り出すと、近くにあった蝋燭にかざし燃やし出す。
灰となる写真を見つめるその瞳は美しくも恐ろしく、彼女の歪んだ心が現れているのであった。