Blood†Tear

何が可笑しいのかヘラヘラと笑うジークだが、突然真剣な面持ちになると彼女の腕を放す。




 「1つ、質問に答えてもらえませんか?」


 「交換条件と言う訳か」


チョコレートと引き換えに、ジークの質問に答えてもらう。

そんな条件普通なら乗るはずもないのだが、食べ物に目のないクレア。
渋々頷き承諾した。




 「では早速。貴女、何故コウガさんに着いて行く事にしたのです?」


フェンス越しに背中合わせの状態で問いかけるジーク。


何が言いたいとクレアは視線を彼へと向ける。




 「不思議なんですよ。彼の周りに稀少とも言える貴女達のような力を持つ者達が集まってくる。偶然にしては出来過ぎだと思いませんか?」


 「彼を疑っているのか?」


 「嫌、只興味があるだけですよ。疑っているなんてそんな……
人を避け1人で生きてきた貴女までも惹きつける彼は、一体何者なんですかね」


空を見上げるジークの瞳は鋭く細められる。

自分もコウガに惹きつけられた身である彼は、自分すらもわからない彼の魅力をクレアに問う。


一方、問われたクレアは何故自分に聞くのかと眉を潜めた。




 「そんな事、私でなく彼に最も親しい彼奴に聞けばいい」


 「彼は駄目ですよ、馬鹿ですから」


彼女自身もわからず答えようがない為、彼をよく知るであろうレオンの名をだすが、ジークは鼻で笑い首を振る。




 「だから貴女に聞いているんです。貴女は何故、彼の傍に居るのですか?」


 「私は……」


その問いに言葉を詰まらせるクレア。


何故彼に着いて来たのだろう。
何故傍に居る。
私には仲間など必要ないはずだ。なのに何故?




 「…私は……彼なら、迷わず私を殺してくれると、そう思ったから……だから……」


地を見つめ呟くクレア。

彼女は目的を達成すればこの血を消す為に死ぬ気でいる。

だが、自分で命を絶つ事には抵抗がある。

そんな心の弱い自分を、血に狂った自分を、彼なら殺してくれると、そう思ったから…






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