Blood†Tear

翌朝、昨夜の雲一つない夜空とは打って変わり、一面を厚い雲が覆い隠す。


降りそうで降らないその天候を部屋の窓から眺めていると、煙草を吸うレグルの姿が目に入る。


部屋を出て階段を下りると、漂ってきた良い香り。

空いていた腹が反応し空腹の音を鳴らす。




 「あらコウガさん、おはようございます」


 「おはよう、シェイラ。朝食作ってくれたんだ」


 「はい、簡単なものですが」


キッチンを覗くと、エプロン姿のシェイラが柔らかく微笑んだ。

挨拶を交わし盛り付けられたら皿を運ぶコウガ。

一皿だけ、一際量の多い皿があるが、これはクレアのものであろう。

何時も大量に食事を取る彼女だが、ほっそりとした体つき。

あんなに食べてあの体つきとは正直信じられないものがある。




それぞれ朝食を終え、片付けを済ませた所で、今朝町に出ていたレグルが話を持ち出した。




 「聞いた話だが、昨夜隣町が襲われたらしい。一晩にして町は崩壊し、生存者も未だ見つかっていないようだ」


 「一晩で町1つを崩壊させるなんて、普通有り得ない……」


 「普通はな。だが、彼等ならそれができるかもしれない」


無糖のコーヒーを優雅に飲むレグル。

彼の言う彼等とは黒いローブを着た集団。
この世界を変えると言い行動に出たライア達ならば、短時間で町1つ潰すのも容易い事だろう。
いとも簡単にやってのけたに違いない。




 「何故あの町を襲ったのかも気になるし、何か彼等に繋がる手掛かりがあるかもしれない」


 「では、様子を伺いに行きましょうか」


コウガの言葉にジークは頷くと、有無を言わさぬ勢いでコウガの腕を掴み玄関へと急いだ。




 「さぁ皆さん、行きますよ~!」


扉を開け外に出ると部屋に残る4人に声をかける。


朝っぱらから元気の良い奴だとレグルは呆れ、伸びをしながらレオンは外へ出る。


クレアは嫌々ながらもついて行く事にし、シェイラは戸締まりを済ませると後を追った。





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