Blood†Tear
無理やり動いた為、突きつけられていた短剣で少し首を切ったが仕方ない。
「殺す……!」
鎌の柄を力強く握り締め、頬に負った傷から流れる血を拭い嫌味に笑う彼を鋭く睨む。
地を蹴った彼女を目にし、彼は溜め息を吐くと指を鳴らした。
「今日は機嫌が悪いんだ。だから、前みたいに手加減なんかできない。殺しちゃったら、ごめんね」
宙に浮いた短剣を操るフリード。
飛んでくる数本の短剣を鎌で弾くが、弾いたはずの短剣は地に転がる事なく軌道を変え彼女を斬りつける。
身体中を斬られ血が流れるが気にする事はない。
掲げた鎌を振り下ろし横に振るい斜めに斬り上げる。
柄を握り直し彼に向かって乱暴に鎌を振り回す。
フリードは鎌を弾き柄を掴むと、口の端を吊り上げ笑い掴んだ柄を押し彼女の腹部を突く。
痛みに力が緩んだ一瞬の隙に更に彼女の腹部を膝で蹴ると鎌を奪い取った。
「ぐっ……ぅっ……!?」
鎌を手にし後ろにふらつく彼女に微笑むと、何の迷いもなくその身体を切り裂く。
「どうだ?自分の武器でやられる気分は」
とっさに身体を捻ったが、背を斬られた彼女は顔を歪めながら一旦退こうと地を蹴る。
しかし、
「逃げるなよ……」
フリードは彼女の細い腕を掴むと引き寄せ、此方へ倒れかかってくる彼女の身体を更に斬り裂いた。
胴を斬られその深い怪我に手を添えるが、フリードは顔を歪める彼女の髪を掴むと壁に突き飛ばす。
身をぶつけ地に倒れ行くがその前に再び髪を掴まれ壁に頭を打ちつける。
「ぅぅっ……っ!あぁぁーー!!」
一瞬意識を失いかけたが、それを許さない彼は短剣を彼女の二の腕に突き刺すと指先に向かってゆっくり腕を裂いて行く。
目を見開き悲鳴をあげ彼の肩を押すが止める事はできない。
「そろそろ終わりにしようか、クレア……」
荒い呼吸をする彼女を見つめながら言う彼は、引き抜いた短剣の刃に付着した血を舐め取り嫌味に微笑んだ。