Blood†Tear
近くに広がる青い海。
心地よく流れる波の音。
時折掠める乾いた潮風。
真っ青な空に眩い日差し。
温暖な気候のこの町を、茶髪と灰色の髪をした男性2人が歩いていた。
突然降り出した大粒の雨の中、足早に歩を進める。
「雨かぁ…」
その内の1人、灰色の髪の男性レオンは、溜め息をつくとどんよりとした雰囲気を身に纏う。
「俺は雨は嫌いなんだ……」
身を縮こませながら呟くと、隣に歩くコウガは心配そうに彼の顔色を伺った。
「雨宿りでもして行こうか」
「…そう、だな…」
青白い顔をして震えるレオン。
そんな彼を気にかけ、コウガは提案。
その提案に頷くと、2人は近くの店に入って行った。
扉を開くと、カウンター越しから年配の男性の声。
濡れた服の水滴を払い、乾かすように頭を振る。
賑やかな店の中、2人は空いていた窓側の席に座った。
お酒を片手に高らかに笑う男達。
既に酔っているのか頬は真っ赤に染まっている。
それにしても、昼間から騒がしい。
変な店に入ってしまったと肩を落としながら、何か頼もうとメニューを開く。
その時、店の隅から何かを叩く物音と、男性の怒ったような怒鳴り声が聞こえてきた。
一瞬にして騒いでいた男達は話を止め、静まりかえる。
店の全ての視線が、その怒鳴り声の元へと注がれた。