Blood†Tear
隅の席に座る、1人の女性。
テーブルの上には幾つもの料理が並べられ、食べ終えた皿が何重にも山積みに積み重なる。
銀色の長い髪に赤い瞳をした彼女は、料理をひたすらに頬張っていた。
目の前の巨大な肉の塊をフォークで刺すと、小さな口を目一杯に開けかぶりつく。
そんな彼女を取り囲む、若い男性4人組。
何か話し掛けているが、彼らの話に目もくれず、夢中で食を進める。
「話聞いてんのか!?」
無反応の彼女に苛立ちを覚えた男はテーブルを叩き叫ぶ。
その声にお酒片手に騒いでいた男達は静まりかえる。
だが、怒鳴られた本人は何の反応も示さず、ただひたすらに食べ物を口へと運んでいた。
「ふざけんなよ!馬鹿にすんのもいい加減にしろ!」
遂に切れた男性は、無反応の彼女に掴みかかると拳を振り上げる。
が、
「…止めなよ」
その拳は何者かに掴まれ女性に振り下ろされる事は無かった。
「んだお前、やんのか!?」
男は腕を掴み2人の間に割って入った人物、コウガを睨むと女性を離す。
そして先程女性に振り上げた拳を再び振り上げ、コウガに殴りかかった。
だが、コウガは男の腕を捻り上げその攻撃を交わした。
容易に交わされた為驚きの表情を見せるが、腕を捻りあげられた痛みに顔を歪める。