Blood†Tear
「これが真実。あの日君が見たのは、君から彼女を奪ったのは、この僕。僕が彼女を殺したんだ」
ライアが、大笑いする彼が、アリアを殺した張本人…?
だが、あの時見た人物と彼は似ても似つかない。
何がどう違うのかと言われれば回答に困るが、ライアよりもスティングと言う男の方が、記憶の中の人物と一致する。
未だ笑い続ける彼の言う事が事実だと言うのなら、真実だと言うのなら、俺は…
力強く地を蹴った。
ほんの数歩でライアの元まで辿り着く。
そして、力強く握った剣を、何の迷いもなく振り下ろした。
「っ…糞っ……!」
鋼同士がぶつかる音。
弾かれた刃。
大剣を手にするスティングが、ライアを護るように立ちふさがる。
「邪魔をするのなら、お前も殺す!」
スティングが居る以上、ライアに手を出す事は不可能。
だったら先に彼の相手をするまで。
鍔迫り合いをする中で、コウガはスティングを突き飛ばし剣を構え直すと素早く斬りつける。
しかし、スティングはその攻撃を簡単に交わし、大剣を猛スピードで振り下ろす。
一旦後退しその攻撃を交わしたコウガだが、直ぐに距離を縮めると喉を狙って剣で突く。
が、その攻撃も弾かれコウガは悔しそうに舌打ちをし、スティングは余裕な表情で大剣を横に振る。
「っ……」
身を屈め、頭上を通り過ぎる刃を何とか交わすと、バランスを崩しながらも剣を下に構える。
そしてよろめきながら、交わす隙も与えずに振り上げた。
「グッ……っ…!」
血が舞った。
ボトリ音を立て、スティングの左腕が大剣と共に地に落下する。
膝をつき、噴き出す鮮血を止めるように左肩を押さえる彼は、尻餅をつくコウガ睨む。
頬についた鮮血を拭い、立ち上がろうと剣を地に突き刺すが、何かに気づきコウガは動きを止めた。
「やるね、コウガ。益々気に入ったよ」
喉元に突きつけられる刃。
ゴクリと息を呑み、目だけを動かし見上げると、レイピアを手にするライアの姿が目に入った。