Blood†Tear
倒れたレオンを心配そうに見つめるエルウィンは身を起こし、気配を感じた方へと目を向ける。
其処に立って居たのは、水色の髪を団子に結った、明るいオレンジ色の瞳をした女性。
「何や騒がしい思て来てみたら、やっぱあんたか。この猛獣」
肩に担いでいた鈍器、フライパンを再び振り下ろす彼女。
倒れる彼の頭に更に大きな瘤を作らせた。
「いってーーな!この野ろぅっぐはっ!」
後頭部を押さえ起き上がる彼は叫びながら彼女に掴みかかるが、振るわれたフライパンが顔面にヒット。
彼は尻餅をつき痛みに耐えながら両手で顔を覆った。
額を拭い一息吐く彼女はエレナ・ミーティア。
この森の中にある小さなカフェの経営者である。
「お、お前、何でそんな物持ってんだよ!?それフライパンだよな!?」
「商売道具を持ち歩いとるだけやないか。何や問題でもあるんか?」
「持ち歩く位大事な物で人を殴んな!て言うか、フライパンは人を殴る物じゃないからな!」
頬をさすりながら訴えるが、彼女は反省した様子も見せる事無く、担いでいたフライパンを再び構えた。
「何言っとんねん。身を守る為に行使しただけやないか」
後ずさるレオンは顔をしかめ、木陰に身を隠しそっと顔を覗かせる。
「ん?あんた……」
呆然とエレナを見上げ、まばたきを繰り返すエルウィン。
フライパンをくるくる回していたエレナは彼女に気づき、傍に歩み寄ると彼女を見下ろした。