Blood†Tear
陽は傾き、空が赤く染まりだし、町は段々闇に包まれる。
高い建物が並ぶビルの陰。
そこにある2つの人影。
倒れて動かない人物と、その上で何かを口に運ぶ黒いローブを着た人物…
冷たく青白い肌…
見開かれた瞳…
地に広がる赤い液体…
血のように赤い瞳をした人物は、既に息をしていない死体を喰っていた…
口の周りを真っ赤に染め、死体の腕をもぎ取ると嫌な音を立てながら一心に食らいつく…
「フリードーー!!」
突然、怒りの籠もった声が聞こえたかと思うと、巨大な鎌の刃が振り下ろされた。
その刃はローブを着た人物には当たらず、地に転がる死体の体に突き刺さる。
攻撃を交わされ鎌を死体から抜くと、背後に移動した人物を睨む。
鎌を抜いた瞬間、血痕が色白の頬に付着したが、気にする事はない。
「クレアか……まだ生きてたんだ」
鎌を構える銀髪の女性を目にしそう言うと、死体からもぎ取った腕を彼女に向かって放り投げる。
それを鎌で払いのけると、無駄な動き1つ見せずに地を蹴った。
物凄いスピードで距離を縮め、声を上げながら釜を大きく振り上げる。
フリードと呼ばれた男は、迫り来るクレアを一歩も動かず見つめていた。
振り下ろされた鎌を一歩横に動き交わすと、彼女の腹に重い蹴りを入れる。
「う゛っ……!」
軽々と交わされ更に蹴りまでくらった彼女は、腹痛に顔を歪め鎌を手放してしまう。
よろめきながら壁に背をぶつけた彼女を目にし、右手の指をパチリと鳴らす。
するとどこからか現れた幾つもの短剣。
それらはユラユラと宙に浮き、彼が腕を振ると猛スピード飛んで行く。
目にも止まらぬ速さで進んだ短剣は、壁にぶつかったクレアの肩、腕、脇腹、太股に突き刺さる。
「あ"ぁーー!!」
あまりの激痛に悲鳴を上げる…
所々に血が滲み、彼女の服を真っ赤に染めて行く…