Blood†Tear

黒いマントに身を包み深く帽子を被るのは、ラグナレア国の王子レグナード・ディ・ルーガン。


彼は自国を繁栄させる手掛かりを探る為独り町中を歩いていた。



一通り町を歩き終え、新たな収穫を得た彼は宿へと足を進めるが、暫くして彼は違和感に気付き目を細める。


先程から、後ろからジッと注がれる視線を感じ、誰かにつけられているようなそんな気がする。


肩越しに後ろへ視線を移すが、その正体を掴む事はできない。


不審に思った彼は次の角を急に右に曲がった。


後をつける人物は予想もしない彼の動きに焦り、見失うまいと急いで角を曲がる。




 「誰だ……」


 「おっといきなりピンチ」


角を曲がった所で待ち伏せしていたレグルは後を追っていた人物に銃を突きつける。


額に添えられた銃口に驚き両手を挙げるのは、乱れた茶の髪に黒縁眼鏡、汚れた白衣を身に纏うマット・ディレクト。


緊張感も無く、挙げた両手を握ったり開いたりしながら薄笑いを浮かべていた。


その表情に眉を潜めたレグルは背後から迫り来る足音に気付き咄嗟に上体を低くする。



その瞬間に頭上を通過する鋭い刃。


次いで身を回転させ繰り出される回し蹴り。


それを左手の銃で弾くと右手の銃の引き金を引く。


しかし、その銃弾は刃で弾かれ店先に飾られていたバルーンを撃ち抜いた。




レグルを襲ったのはマットの造ったアンドロイドであるアリュー。


無理な体勢で銃弾から逃げた為、バランスを崩したアリューはレグルから離れ、レグル自身も一旦彼女と距離を取る。




鳴り響いた銃声に次いで破裂音。

二丁の銃を所持する男性と銃刃の腕をした少女の姿を目にした住人達は悲鳴をあげながら逃げて行く。


その姿を馬鹿にしたように笑いながら見送ったマットは、アリューの後ろから腕を回し彼女を抱き締めた。




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