Blood†Tear
地を蹴ったアリューはすぐさまレグルに斬りかかる。
放たれた銃弾を身を低くし交わすと、次いで足元に飛んできた銃弾を飛躍し回避。
高々と飛躍した彼女は振り上げた刃を振り下ろす。
その刃を右手の銃でいなすと左手の銃の引き金を引くレグル。
銃声が鳴り響く中、空中で器用に身を捻ったアリューは銃を蹴り上げ銃口をそらす。
そして着地すると共に刃を振るい、膝で鳩尾を蹴ると更に脇腹に蹴りを入れ彼を突き飛ばした。
「っ……!」
「あぁあ…彼の身体は研究に使うから、余りボロボロにするなよ、アリュー」
店先に突っ込んだレグルの元に歩み寄るアリューに口出しするが、分かっているのかいないのか、どちらともつかない反応を見せ店の中へと姿を消した。
商品の並べられたら机に身をぶつけたレグルは肩に負った傷に顔をしかめ、目の前に散らばった物の中から1つを咄嗟に掴む。
そして背後に気配を感じた彼は振り返りながら刃を受け止めた。
鋼が何かにぶつかり鈍い音が鳴り響く。
彼の手に握られていたのは鞘に収まったままのロングソード。
レグルの突っ込んだ先は武器屋だったようで、目の前にあったそれを手に取ると、振り下ろされた刃を受け止めたのだ。
驚いているのか首を傾げるアリュー。
彼女を気にする事無く受け止めた刃を弾くと鞘から剣身を抜き取った。
陽を浴び煌めく刃。
研がれたばかりのそれば鋭く切れ味抜群。
机の上に背を預ける状態となっていたレグルは抜いた剣を横に振るが、それは身をそらし交わされる。
それに目を細めたレグルはアリューの腹を蹴り身を起こすと、フラフラと後退する彼女を無駄の無い動きで斬りつけた。
「っと……」
様子を伺いに呑気にやってきたマット。
店の前に辿り着くと共に彼の胸の中に何かが飛び込んできた。
見下ろすと、其処には肩から腹部まで斜めに斬られ、今にも機能停止しそうな状態の彼女の姿。
そして顔を上げると、ロングソードを手にし歩み寄ってくるレグルの姿がすぐ其処にあった。