Blood†Tear
後ろに跳びフリードから離れたクレアはウェイトレスに刃を向ける短剣を鎌で振り払う。
彼女を貫く前に何とか間に合いホッと息を吐くクレアだが、そんな彼女に向かってフリードは短剣を投げつけた。
フリードに背を向ける状態となっていたクレアは身をそらしてそれを避け、台を倒し盾にし次いで飛んでくる短剣を防ぐ。
台の後ろに身を隠したクレアは傍に転がる瓶を投げフリードの気をそらすと窓を飛び越え外に出た。
窓硝子を割り地面に転がるクレアは素早く着地し屋根の上に飛躍。
地を蹴った瞬間食堂の窓から飛んでくる幾本もの短剣。
それはクレアが転がるであろう地に突き刺さる。
「それで避けたつもりか?」
「?くっ……!」
壁を壊し姿を現したフリードの言葉に眉を潜めるクレアは、屋根に着地した瞬間何かに気づき振り返る。
其処には宙に浮く数本の短剣。
何時の間にか背後に忍ばされていたその短剣に舌打ちをすると、クレアは飛んでくるそれを交わし鎌で叩き落とす。
「だから、敵に背を向けるなよ……」
短剣に気を取られているクレアの背後に着地するフリードは、彼女の髪を乱暴に掴むと握った短剣を振り下ろす。
自分の首目掛けて振り下ろされる刃を目の端に映し、クレアは鎌の柄で短剣を握る彼の手を突くと髪を掴む手を振り解き、振り向き際に鎌を振るう。
「っ……」
その攻撃でフリードは左腕を負傷。
掠り傷ではあるが、それが気に入らなかった彼は鎌を振り下ろした状態のクレアの襟を掴み腹に膝蹴りを入れると屋根から放り投げた。
「グハッ……」
怯んだクレアは屋根から落ちながらも着地する為に空中で一回転。
しかし、着地点を目にした瞬間息を呑む。
地に刺さっていた筈の短剣は刃を天に向け、彼女の身体を貫こうと待ち受けていた。