Blood†Tear
シュッと風を切る刃。
猛スピードで振り下ろされるナイフはその刃をコウガの身体へと埋めるべく距離を縮めてゆく。
しかしその切っ先は服を裂き、皮膚に触れた所で動きを止めた。
「ちっ……」
舌打ちと共に鳴り響く二発の銃声。
ライアは自分目掛け飛んでくる銃弾を一発目は身を反らして交わし、二発目は器用にナイフで弾き返し回避する。
「…これからって所で何だよ……邪魔しないでくれる……?」
立ち上がったライアは銃を構える人物、レグルを睨む。
今にも斬りかかろうとサバイバルナイフを握り直すが、背後から迫る人物に気付き振り返る。
「悪かったな!邪魔をして!」
直ぐ其処には拳を握るレオンの姿。
素早く拳を突き出すが、それはいとも簡単に避けられてしまう。
「ちっ……」
攻撃が空振りした為、次の攻撃へと移行するレオン。
しかし繰り出した回し蹴りすらも交わされてしまう。
上体を屈めたライアは頭上を通過するレオンの左足を確認すると、ナイフを構え体勢を崩すレオンの懐へと潜り込む。
「くっ……」
何とか体勢を立て直そうとするレオンだが間に合わない。
後は引いた刃を突き出すだけ。
それで彼はレオンを仕留める事ができる。
しかし、それを遮るように背後に回り込んだクレアが彼を襲う。
がら空きのその背中へと掲げた鎌を振り下ろすクレア。
彼女の存在に気づいたライアは突き出そうとしていた刃を後ろへと回し、振り返る事無く振り下ろされた鎌を受け止めた。
「ざ~んねん」
「うっ……!」
鎌を弾くとクレアの腹を蹴り上げ突き飛ばす。
その隙に状態を立て直したレオン。
瞬時に拳を振るうが、それも身を反らし交わされ、顔の真横を通過した腕をライアによって掴まれてしまう。
そして彼は見た目からは想像できない程の力でレオンの腕を引くと力一杯突き飛ばした。
「ぁ、うわぁ……!」
「……!?」
壁に身をぶつけ痛みに耐えるクレアだが、そんな彼女目掛け飛んでくるレオン。
互いに避ける隙も無く、そのままレオンはクレアに突っ込んで行った。