Blood†Tear
「ってて……」
身をぶつけ額をさするレオンは身を起こす。
目を開けば、間近に迫る白い肌。
ハッとし身を離そうとするが、行動に移すその前に彼の身体は突き飛ばされる。
「いってーな!何しやがる!?」
「…五月蝿い…それはこっちの台詞だ……」
「っ……」
再び床に身をぶつけるレオンは突き飛ばした本人であるクレアを睨むが、彼女のもっともな意見に口を紡ぐ。
「まぁまぁ2人共、こんな時に喧嘩なんて――」
「「お前は黙ってろ!」」
睨み合う2人を止めに入ったジークだが、息のあった彼等によって怒鳴られてしまう。
そんな彼は顔に笑みを浮かべたまま、無言で鞘から刀を抜いた。
「止めろ、ジーク」
「アハハ……止めないで下さいよ、レグナード様ぁ……」
刀を振り上げたジークを目に、呆れたレグルは彼を小突く。
それでも止めようとしない彼だったが、レグルに鋭く睨まれ仕方なく刀を下ろすのだった。
「大丈夫ですか?」
「…あぁ……」
身を起こすコウガの傍に屈むシェイラ。
何処か悲しそうな瞳の彼を心配そうに見つめると、深い傷口に手を添え治癒をする。
「それにしても、やりにくいな……」
「相手が女って言うのがな……」
弾を込めるレグルの言葉に賛同するレオン。
立ち上がりライアへと目を向ける彼は強打した腕を大きく回す。
「1人相手に大勢でと言うのは気が引けますが、こればかりは仕方ありませんね」
「フンッ…怖じ気づきでもしたのか……?」
深く息を吐くジークはライアを見据え刀を構え、強気のクレアは男3人の頼りない言葉に鼻で笑って見せた。