Blood†Tear
血を流すジークへと駆け寄るシェイラだが、その身体に放たれた矢が突き刺さる。
「ぅっ……」
「シェイ――!」
レグルは膝を折る彼女の名を呼び地を蹴った。
しかし、身を引いたように思えたライアの姿が彼の目の前に突然現れる。
「一国の次期王となる君のような存在が、こんな戦禍の中に居ちゃ駄目だよ」
顔を近づかせ言う彼は驚くレグルから銃を簡単に奪い取り、銃口を彼へと向け引き金を引く。
逃げる隙も無く、放たれた銃弾は彼の身体に風穴を開ける。
「さぁ、次は君だよ、赤目の死神」
返り血を浴びたライアは倒れたレグルの背を踏みながらクレアへと銃を放つ。
その銃弾を鎌で弾いたクレアは深紅の瞳で鋭く睨む。
「ねぇ、一族を皆殺しにした時の気分はどうだった?それはそれは楽しくて可笑しくて、抑えきれない程の快感で仕方なかったよね?」
「…黙れ……」
彼との距離を縮め身の丈程ある巨大な鎌を振り下ろすクレア。
しかし空振りしたその攻撃。
彼女の攻撃を交わしたライアはナイフを突き出すが、鎌の柄によって弾かれる。
身を捻り再び鎌をライアへと振るうがそう簡単に当たる事は無く、繰り出された蹴りを身を低くし交わしたクレアは悔しそうに奥歯を噛み締めた。
「っと……」
鎌を振り下ろすと同時にライアの背後を襲う大剣。
後退し続ける彼の後ろに何時の間にか回り込んでいたスティング。
彼は隙だらけのその背を狙い素早く大剣を振り下ろした。
前方だけでなく後方からも繰り出された攻撃に焦りを見せたように思えたライア。
しかし…
「…なんてね」
右足を少し後ろへ下げクレアの攻撃をひらりと避け、振り返りながらスティングの大剣をナイフで弾く。
「っ……!」
勢い良く弾いた為、大剣はその手から離れ宙を舞う。
片腕だけの彼からは容易にそれを手放させる事ができた。
丸腰となったスティングへと冷たい視線を向けるライアは彼の腹を蹴りあげ突き飛ばし、手にするサバイバルナイフをレイピアへと変化させた彼は直ぐ傍に立つクレアの身体を貫いた。