Blood†Tear
広がる長閑な田園風景。
流れる水は冷たく透き通り、人々は穏やかで暖かい。
そんな小さな町の小さな一軒家。
そこに暮らすのはジークとシェイラの2人である。
「具合の方はどうですか、ジーク?」
「大分良くなりました…シェイラの看病のお陰ですね……」
昼間だと言うのにベッドに眠るジーク。
彼の顔色は悪く、風邪をひいているようだ。
「…やはり、力を使った方が……」
「駄目です…もうその力は無闇に使わないと、約束したばかりではないですか……」
「しかし……」
治癒の力を使おうとするも、その腕を掴まれ制されてしまう。
「良いんです…力を使わなくとも、こんな風邪直ぐに治りますから……それに……」
「?」
何か言いかけ言葉を止めるジーク。
不思議に思ったシェイラは彼を見つめ小首を傾げる。
「…こうやって看病されるのは、私にとっては褒美のようなもの……嬉しいのですよ…こうやって貴女が、私の為につくしてくれる事が……」
「っ……!」
向けられた優しい微笑みに頬を赤く染めるシェイラ。
「あれ…もしかして、うつしてしまいましたか……?」
その様子に心配したジークは彼女の額に手を伸ばす。
優しく触れる大きな掌。
思いもしない出来事にシェイラは更に顔を真っ赤に染め、ジークを困らせてしまうのだった。