Blood†Tear
咲き誇る色とりどりの凛々しい花々。
川の水は穏やかに流れ、陽に照らされてキラキラと煌めいた。
「……」
陽に当たるのを避けるようにして木陰の下に腰掛けるクレア。
頬張るのはカスタードと生クリームたっぷりのシュークリーム。
それをぺろりとたいらげた彼女は名残惜しそうに指を舐める。
「…お前の胃はブラックホールかよ……消化酵素が他人の何十倍も出てるのか……?」
素足を冷たい川の水に浸し、両手を腰の後ろ辺りに置いて座るレオンは首を後ろに曲げクレアの姿を逆さに映す。
「フンッ…そんな筈が無いだろ…馬鹿かお前は……」
レオンの言葉を耳にしたクレアは鼻で笑い彼を軽く貶す。
するとレオンは腹を立て、立ち上がるなり怒鳴り声を撒き散らす。
「誰が馬鹿だ誰が!馬鹿って言うお前の方が馬鹿なんだよ!」
「…よく吠える狼だ。少し躾が必要か?」
巨大な鎌を手に立ち上がるクレアは余裕綽々な様子で言ってのけ、レオンの怒りを更に煽る。
「こんの……糞死神が!」
怒りが頂点に達したレオンはわなわなとその身を震わせて、力強く拳を握ると勢い良く地を蹴った。