Blood†Tear

彼の名はリオン・ディアルド。
右目は銅、左目は青のオッドアイを持つ少年。
肩までのエメラルドの髪を緩く結び、帽子をかぶる彼は女の子のような可愛らしい顔立ちをしている。



 「それにしても、どうして貴方みたい人がこんな所に?」


 「そ、それは……」


人々から神と崇められる彼が、こんな山奥で何をしているのだろう。
それも幼い子供たった2人で。


コウガの問いに答えずらいのか言葉を詰まらせ目を反らす。



その時、



 「リオン様ー!」


背後から少年の名を呼ぶ声がした。

声が響いたかと思うと、猛スピードで駆け寄って来る人物。


ツインテールに結んだ髪を揺らしながら近くにいたレオンを押し退けると、何の迷いもなく少年に抱き付いた。



 「リオン様、怪我はないですか!?大丈夫ですか!?」


一度抱き締めた後身を離すと、肩に手を乗せリオンに目を向ける。

猫のような丸い瞳で心配そうに見つめると、怪我はないかとリオンの全身を見渡した。


一通り全身を見渡し終えると、ホッと安心したように息を吐く。



 「僕は大丈夫です。それより、イースこそ無事ですか?」


 「イースは頑丈ですから。それよりもリオン様、無事でなによりです!」


胸を叩いて見せる少女。
そんな彼女に穏やかな表情を向けるが、首に残る赤い痣…

先程の戦闘で受けた怪我を目にした瞬間、悲しそうに眉を潜め、瞳に映った痣から逃げるように目をそらす…


一方少女は喜びの笑顔を浮かべ再びリオンに抱き付いた。




2人のやり取りを口を挟まず見つめるコウガ達。


少女はそんな彼等に気づいたのか、リオンから離れるとコウガと向き合った。



 「助けて頂きありがとうございます!お陰で命を救われました」


コウガの手を取るとブンブンと上下に振る。

喜びを目一杯に表現する少女に呆気に取られながらも、にこやかに微笑むのだった。




ツインテールにしたピンクの髪にラベンダーの丸い瞳。
箒を武器とする彼女の名はイース・ヴェル。
常にリオンの傍につく、自称神も認めるリオン様の守護。



< 39 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop