Blood†Tear

 「で、何でこんな所に居るんだ?それも護衛もつけず、子供2人で」


動く度に揺れるツインテールの髪。
それを不思議そうに見つめるレオン。
揺れる髪を目で追いかけながら話を戻す。


するとその問いに反応したのはイース。
クルリと振り返り片手を腰に当て胸を叩く。



 「護衛ならイースがいます!イースはリオン様の守護ですから」


 「何が護衛だ。子供の遊びじゃねぇんだぞ」


 「なっ、何をー!」


堂々と言い張るイース。
だがレオンはイースの言葉を信じない。
否定され頭にきたのか、自分の力を思い知らせる為レオンに攻撃を仕掛けた。


箒を手にすると意識を集中。
力強く柄を掴むと思い切り振り下ろす。

振られたその箒から巻き起こる突風。
その風を正面から受けたレオンは吹き飛ばされ、太い木の幹に身をぶつける。

どんなもんだと腰に手を当て胸を張ると、痛みに顔を歪めるレオンを見下ろした。






そうなるはず…
だった…



 「あ、あれ…?」


しかし、現実はそう上手くいかないもの。
訪れたのは小さな風。
レオンの灰色の髪を揺らしただけの微かなものだった。



少し身構えていたレオンは頭をかき疑問符を浮かべ、箒を見つめた状態で固まったイースへと目をやる。

拍子抜けな顔をしていた彼女は、羞恥からか一瞬の内に顔を真く染めた。



 「う、うわーー!」


耳まで真っ赤に染めたイースは箒を握り直すと無闇やたらにレオンを殴る。

その攻撃を腕で受けながら、レオンは鬱陶しそうな顔をしていた。






 「ある人に…」


 「?」


暴れ出したイースを見つめていたリオンは突然口を開き呟いた。

その呟きにコウガは首を傾げリオンに目を向ける。

リオンは一度コウガを見つめた後、どこまでも広がる青空を見上げた。



 「ある人に会いに行くんです…大切な時を、取り戻す為に…」


遠い目をした彼の瞳は、悲しみと希望を含んだ色をする。


そしてその奥に宿るのは、とても強い決意の光。


太陽を見つめる彼の姿は、どこか不思議と大人びて見えたのは気のせいか。





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