Blood†Tear
陽を見上げるリオンの横顔を見つめ、何かを考えるように地に視線を下ろす。
数秒後再びリオンへと視線を戻すと、ゆっくりと口を開いた。
「目的の場所まで付き添うよ」
「え?」
陽を見上げていたリオンは、思いもしない言葉にコウガへと顔を向け、銅と青のオッドアイで彼を見つめた。
全てを見通すような、その瞳で。
「危険なのが分かっていて、知らぬふりなんてできない。このまま2人だけで行かせる訳にはいかないよ」
「そうだな。このチビだけじゃ心配だ」
コウガの提案に賛成の意を表したレオン。
ジタバタ暴れるイースの両頬を抓りながら答えた。
クレアにも意見を聞こうと振り向くが、先程まであった彼女の姿はそこにはない。
どこに行ったのかと辺りを見渡すと、木の枝に腰掛けている姿が目に入った。
木に実る果実をもぎ取りマジマジと見つめるクレア。
確かめるように匂いをかぐと何の抵抗もなくかぶりつく。
大口を開けてかぶりついた状態の彼女と目が合い苦笑い。
一方彼女は顔色1つ変えず目だけを背け食を進める。
モグモグと口を動かしながらゴクリと飲み込むと、コウガに視線を戻し無言で小さく頷いた。
それを肯定だと受け取りリオンに微笑むコウガ。
「皆さんと一緒でしたら心強い。宜しくお願いします」
にっこりと微笑みながら深々と頭を下げる。
そんな彼を目にしたイースはレオンから離れリオンと共に頭を下げた。
新しく加わったリオンとイース。
ここから5人の旅が始まった。
穏やかな風が木々を揺らし、落ちた木の葉を踊らせる。
雲一つない空はペンキを零したようにどこまでも青く広がり、その中で一際輝く陽の光が彼等の姿を照らしていた。