Blood†Tear

ふざけた感じの彼に苛立ちを覚えながらも、武器を手にしていない事を確認した後剣を手放すコウガ。


男性の後方で待機するレオンは未だ構えたまま、合図があれば直ぐに攻撃をしかけれる状態を保つ。

そんな彼にもう大丈夫だと目で合図を出すと男性へと視線を戻す。


剣が大気の中に消えて行くのを目を細めながら見送った後、男性はご機嫌な様子で口を開いた。



 「いや~助かりました。こんな山奥で5人もの旅人と出会えるとは、今日は運が良いようです」


ニッコリと微笑み何が嬉しいのかクルリと一回転。

コウガに向き直ると再び口を開く。



 「一緒に着いて……って、ちょっと!」


言葉を止め声を上げた彼。
と言うのも、先程まで目の前にいたコウガが灰色の髪の男性に腕を引かれ何処かへ連れて行かれてていたのだ。




 「あんな変人とは関わらない方がいい」


 「そうですよ。何をされるかわかりませ……ックシュン!」


灰色の髪の男性、レオンはコウガを連れ相手にするなと呟く。
くしゃみをし身震いしながらそれに続くのはびしょ濡れのイース。


 「そんなに悪い人ではないと思いますが…」


コウガ達について行くリオンは振り返りながら言い、大木に登っていたクレアは伸びをすると軽やかに地に飛び降りた。




 「貴方達は、目の前で困っている人を見捨てて行くと言うのですか!?こんなにも困っていると言うのに!」


立ち去る5人の背に語り掛ける男性。

しかし5人は立ち止まる事もなく立ち去って行くのであった。


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