Blood†Tear
2人を見ていたコウガは苦笑し名を名乗る。
他の4人もそれに続いた。
柔らかく微笑む女性、彼女の名はシェノーラ・フィール・ラグナー。
栗色の髪に優しい茶の瞳。淡いピンクのワンピースを身に纏う幼い顔をした女性。
その隣に立つ男性、藍色の髪に紺色の瞳の彼はジーク・ブロッガー。
ヘラヘラとおどけた性格かと思えばしっかりとし、コロコロと表情を変える不思議な性格の男性である。
「な~に見とれてるんですか~?」
耳元で囁くのはにやけたジーク。ボケッとシェノーラを見つめるレオンはビクリと身を震わせ否定した。
「な、何言ってんだ!?見とれてなんかねぇよ!」
「照れちゃてぇ。でもね、あぁ見えてお嬢様、実はさんーー」
「ジーク、何を話してるのかしら?」
屈んでレオンにコッソリと何かを教えようとしたが、シェノーラに遮られてしまった。
ニッコリと言う彼女だが、何故か恐ろしい雰囲気を身に纏う。
シェノーラの傍にいたイオンとイースは宥めながら苦笑いするのだった。
彼等の後方、少し離れた所、腕を組み片手を顎に添え目を細める男性がいた。
彼の視線の先にあるのは、削れた土に折れた枝、点々と模様を描く赤い雫…
紛れもなくそれは血痕である。
争った跡であると確信し怪訝な顔をしていると、
「コ・ウ・ガさ~ん」
ジークがコウガの前に立ちはだかり視界を遮った。
「何難しい顔してるんですか?」
「嫌、何でも……」
身体を折りコウガの眉間に指を添え言う。
突然の事に一歩後退。
指が離れた眉間に手を添えた。
「では、そろそろ本題に入りましょうか」
ニコニコと微笑みながら言うと、コウガの背を押しレオン達の元へと導く。
背後にいるジークはコウガが見つめていた荒れ地へと目を向け、再びコウガへと目を向ける。
後ろ姿を見つめる彼の瞳はどこか鋭く冷たいものだった。