Blood†Tear

セルビアの手から滑り落ちた本はゆっくりと落ちて行き、床に吸い込まれるように消えていった。


本が落ちた床には穴が空き、その中には長い階段が続く。


何処かへ続く暗闇を目にし、一口ミルクを飲むと決意するように立ち上がり、セルビアの元へと歩み寄るリオン。



そして彼女を抱き締めると、ありがとうと一言礼を言い暗闇へ続く階段へと足を踏み入れた。





リオンの姿が見えなくなり、コツコツと階段を降りる足音だけが響く。




　「君が死ねと言うのなら、我は喜んで命を捧げよう……君が死ぬ事を望むなら、悲しみを抱き刃を握ろう………」


足音に耳を澄ませる彼女は誰に言う訳でもなく静かに呟く。



　「君は我にとってそれ程大きな存在なのだよ、リオン……」


何処へ続くかわからない暗闇を見つめる彼女。
その瞳は悲しみの色を含ませていた。



　「今は只応援しよう、君の決意した事を……そして見守ろう、君の未来を……」


疲れたようにフラフラと歩き椅子に腰掛けると、フッと息を吹きかけ蝋燭の火を消した。