Blood†Tear
エメラルドとは補色に近い赤紫色の髪をした少女。
彼女とリオンの関係は…?
「彼女はリオンの実の姉だ。髪色も瞳の色も違うがな」
コウガの疑問に答えるようにセルビアは言い、疲れたように座り込んだ。
「シエン・ディアルド。リオンの3つ上の姉だ。彼女自身はそれを信じておらんがな」
「彼女は疑っていたと?自分がリオンと血のつながりがないのではないかと……」
「そう、あの容姿のせいで全てを疑うようになり、心に闇を宿していった。
自分はディアルド家の人間ではないのではないか…
リオンと言う実の息子がいる以上、いつか自分は捨てられるのではないか……と…
リオンがあの瞳を受け継いだのも、気に入らなかったようだ」
過去と未来を視る神の瞳…
過去を視る瞳を持つ父と、未来を視る瞳を持つ母から産まれたのが、シエンとリオンの2人。
だが、その瞳の力を引き継いだのが、シエンではなくリオンであった。
その事実が、シエンを苦しめていたという。
「どうして、僕の瞳は…こんな色をしてるの…?」
涙の滲む瞳を擦りながら、リオンは問う。
「皆が言うんだ……僕の瞳は可笑しいって……変だって……」
そう言うと再び泣き出したリオン。
シエンはそんな彼を悲しそうに見つめ、優しく抱き締めそっと囁いた。
「私は、貴方のその瞳が、大好きよ」
と…
「知ってる?他国ではね、青と銅のオッドアイは"ダイヤモンドの瞳"って言われるの」
「ダイヤモンド…?」
「そう、貴方はダイヤモンドのような、とても綺麗な瞳をしてるのよ」
シエンの言葉に顔を上げたリオンは彼女を見上げ、優しい瞳で彼を見つめるシエンは彼の頭をそっと撫でた。
「シエン、リオン」
背後から聞こえた男性の穏やかな声。
振り返ると、そこには2人の大人が立っていた。