Blood†Tear

 「ずっと心配してた。リオンの護衛として失格なんじゃないかって」


ぼそりと言ったのは、自分で剥いた林檎を頬張るクレア。


此方に顔を向けたコウガに林檎を勧めると、彼は礼を言い1つ手にした。



病気で倒れ、傍にいれなかった自分の不甲斐なさ…

セルビアと言う異様な力を持つ人物が現れた以上、無力な自分は不要となるのでは…


そんな様々な想いが彼女に不安を与えていたのである。




 「でも、そんな心配しなくて良かったみたい」


 「2人はお互いに互いの事を大切に想ってる。2人の絆はそんな簡単に消えたりしないよ」


涙を流すイースとそんな彼女を優しく見守るリオン。


少し離れた所からコウガとクレアは2人を静かに見つめるのだった。





 「処で、彼はあのままでよいのか?」


いつの間にか林檎を片手にしていたセルビアは窓の外へと視線を送る。


その先には少女2人を追いかける灰色の髪の男性、レオンの姿があった。




 「レオン……」


この町の人々に時折ぶつかり迷惑をかけながら駆けていく彼の姿を目にし、コウガは頭を抱える。


そして彼を止めに行こうと扉に手を伸ばしたが、何か気配を感じその手を引いた。



 「おはよーございま~す!」


コウガが扉から数歩離れると、勢い良く扉は開き、ふざけた感じの男性の声が響く。


ニッコリ微笑みながら挨拶したのは、藍色の髪の男性、ジークであった。


片手を挙げる彼は左手に何か大きなものを抱えていた。


じたばたと動くのそれはどこかで見覚えが…


ジークに抱えられるそれは、先程まで少女を追っていた筈のレオンであった。






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