Blood†Tear
鮮やかな新緑。
緑の隙間から木漏れ日が差し込み、葉が風に揺れる度キラキラと輝いていた。
その中に人影が2つ。
逃げるように人間物とは思えないスピードで走る男性を、獲物を捕らえるべく弓を構えた人物が木の上から狙っていた。
数本もの矢が何度も飛んでくる。
その矢は男性には当たらず地に刺さり木の幹に突き刺さる。
木々の隙間をすり抜けながら走る男性は、飛んできた矢を避けると突然地を蹴った。
力強く地を蹴ると高々と飛躍。
弓を構える人物の傍まで飛ぶと拳を振り下ろす。
「!?」
だがその拳は空を切り、その人物がいた枝に振り下ろされた。
拳の当たった枝は折れ、飛躍した男性と共に地に落ちる。
上手く着地した時だった。
「…!糞っ……」
嫌な殺気を感じ取った…
視線を後方に向けると、背後からは迫り来る数本の鋭い矢…
状態を整えきれていない男性は避けるのは不可能…
陽の光を浴びて煌めく矢の先を睨み顔をを歪めた…
その時だった…
キーーン…
「!?」
鋼同時がぶつかるような鋭く高い音…
そして男性の前に立ちはだかったある人物…
鋭い剣を持つ、細身の男性…
茶髪の髪は風に揺れ、澄んだスカイブルーの瞳は前方の敵をしっかりと捉える…
「……チッ……」
弓を構えた人物は、矢を弾かれ舌打ちすると逃げるようにその姿を消した…