無題
しばらく走っていると図書館の明かりが見えた。そこの自動ドアから1人の他校の男子が出てきた。多分、あれが恭一君だ・・・あたしはできる限りの大きな声で叫んだ。

「きょーいち君!!」

そして、またゆっくりと振り返って、かすかな光がある目であたしのことを見た。

「・・・・彩か・・・何?」

少しムッとした。あたしが走ってきたことに何も思っていないのかとつぶやきそうになった。だけれど、聡美がこんな辛い想いするのが少し分かった気がした。

「聡美・・・泣いてたよ!?恭一君何かした?」
「・・・別に。」

絶対、絶対自覚してると思った。自分が聡美を泣かせたことを。それとも、恭一君は、鈍いのかなぁ・・・・イチかバチかで言ってみた。

「知ってる?聡美、恭一君の事好きなんだよ!」
「!?」

恭一君は目を大きく見開いた。多分、ビックリしたんだろう・・・恭一君はどう思ってるんだろうか・・・

「・・・ねえ、恭一はどうなの?」

声を振り絞ってあたしは聞いてみた・・・


「誰が?」
「聡美だよ!」
「ああ・・・・・別に興味ないけど?」


ぷつりと何かが切れた。友達を想う心がフルにはたらいて、あたしは怒り任せに、恭一君を打った。次に恭一君はあたしが何を恭一君に伝えようとこんな風になってしまうのが悲しかった。ぶわっと涙が出てきた・・

「最ッ低!!」


そういってあたしは走っていった。これからどうすればよいのかわかんなかった。これから、どういう顔をして恭一君に会えばいいのかわかんなかった。

< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop