Cashe Cashe
並木道と愛言葉
幼い頃 並木道で両側の木を数える二人
君のほうだけ一本多いから
ラストは君の声で締めていた
君と何度も交した約束も
今じゃ約束の理由の意図をたどっている
君が好きだった孤独な曲
今じゃその理由も少しずつ胸につく
※
私たちの言葉の意味は周りと違っていた
二人だけの合言葉
『ありがとう』は気休めに近い過去
『ごめんね』は結ばれた糸をほどく今
『バイバイ』は君と別の道を歩む未来
ラストを締める君の声は
お節介なものまで私にくれた
※
お揃いのリップクリーム
今じゃ唇が乾いたまま
君の家まで走る自転車
今じゃその錆びた音さえ聴くことがない
かき消すことのできない君との想い出は
いつも澄んだ色の湖のよう
徒花が咲く並木道
華やかなじゅうたんの上で
一人 木を数える
君の最後の声はもう聞こえないけど
君の余韻で私は微笑む
散りゆくものが背中を押してくれる
※
もうしばらくはこの歌を歌いたくない
『ありがとう』の意味を探すのなら
『ごめんね』と言われたあの日から
『バイバイ』した者とは違う光の道へ
やっと空を見ることができる…
悲しみに暮れる日なんてあるなら
この並木道を歩く人々を見てみよう
そこに君がいるのなら
合言葉じゃない『ありがとう』を
2010,02,19