大嫌いだって愛しい
“駅の裏で待ってる”
そう言って電話を切った多田の声を聞き終えた私は
適当にクローゼットから洋服を取り出し着替えた。
西地区まではそう遠くない、
マンション前の大通りでタクシーを拾うと
西地区の駅裏へと向かった。
「意外と早かったじゃん」
私より先に着いていたらしい多田は
青のラインが入ったバイクにまたがっていて
私がそこに近づくと
ヘルメットを投げ渡し
バイクの後ろを指差した。